危険な
体内時計の乱れ

質の高い睡眠と
自然回帰が
美容の秘訣

睡眠が健康や美容におよぼす影響が指摘されています。主婦の植田幸子(仮名)さんは、健康のためにと思ってはじめた新聞配達のアルバイトが、裏目にでて健康を害した苦い体験があります。2時半に起床。7時に新聞配達を完了。子供を学校へ送りだした後、昼前まで仮眠をとる生活を続けました。そのうち体調が悪くなり、顔がかさかさになりました。注意も散漫になって、新聞の投函先を間違えるミスが増え、結局、4ヶ月で仕事を辞めました。

高校時代に屈強な水泳選手だった青年が、体育専門学校へ通いながら、夜間のアルバイトを続けたところ、体調の悪化を招き、スキュ―バ―ダイビングの実習にも参加できなくなり、とうとう8ヶ月後に職場で小脳出血を起こして亡くなった例もあります。この事件は、実際に労災認定裁判になりました。

環境ジャーナリストの加藤やすこさんは、睡眠が人体に及ぼす深刻な影響について次のように指摘します。

「睡眠不足は、集中力や思考力の低下だけでなく、疲労感、不整脈、血管の収縮、高血圧など心臓血管系の病気、肥満や糖尿病などにつながります。夜眠くなるのは、私たちの体にある体内時計が、睡眠や目覚め、血圧や体温の上昇・低下、ホルモン分泌などの調節を行っているからです。たとえば陽が落ちて暗くなると、睡眠を促すホルモン『メラトニン』の分泌が始まり、体温などを徐々に低下させて眠りやすい状態にします。それとは逆に、朝は光の刺激によって、目覚めるための準備が始まります」

体内時計に沿って生活することが、健康を維持するための基本中の基本なのです。しかも、質の高い睡眠を取ることが重要です。

アンチエイジングと睡眠

思春期をすぎると睡眠を促すメラトニンの分泌が減ってきます。その結果、30代、40代、50代と年齢を重ねるにつれて体内時計が誤作動するリスクが高くなります。アンチエイジングの観点から言えば、それが老化を早めます。

幸いに植田さんは、アルバイトを昼間のコンビニでの仕事に切り替え、体調も回復しました。ビタミン補給を適切におこない肌荒れも改善しました。そしていまみずからの苦い体験から体内時計の重要性を認識しています。

わたしたちの生活環境の中には、体内時計を狂わせてしまう要因がたくさんあります。日夜が逆転した不規則な生活。精神的なストレス。過労。カフェインの過剰摂取。アルコールも適量を超すと質のよい睡眠を妨げます。

これらの原因は、意識的な努力である程度は、取り除くことができます。しかし、ほとんどの人が気づいていない重要な要因があります。それは俗に言うブルーライトが人体にあたえる影響です。

なるべく避けたいブルーライト

ブルーライトはわれわれの生活環境の中にあふれています。たとえば、パソコンやスマホのバックライト。ネオン。照明器具のLED・・。

オレンジのLEDの危険性は確認されていませんが、ブルーのLED(光の合成で白く見えるものもある)が、体内時計を狂わせてしまうことは、定説になっています。加藤さんが海外の事情について言います。

「アメリカの研究では、電子書籍と紙媒体の本を被験者が寝る前に読ませたら、電子書籍を読んだグループは、メラトニンの分泌が減り、体内時計が乱れ、睡眠の質が悪化しました。ブルーライトは、他の色合いの光よりもメラトニンの抑制効果が高いこともわかっています。とくに子供は大人よりもブルーライトに敏感なので、眠る3?4時間前から照明をできるだけ落とし、電子機器の画面も見ないようにしましょう」

身のまわりから、体内時計を狂わせる要素をなるべく減らして質の高い睡眠を確保すること。バランスが取れた栄養を取ること。そして自然回帰。それが美容と健康の秘訣にほかなりません。